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 (125)5月の青空に平和を思う

5月の青空に平和を思う

 実はまだ訪れたことがないのですが、エッフェル塔に隣接するシャン・ド・マルス公園には2003年に設置された「平和の壁」というモニュメントがあり、世界各国語で平和と書かれているそうです。そのパリのオペラ座前には老舗のCAFÉ DE LA PAIXがあります。PAIXはフランス語で平和です。イタリアでは部屋の窓から虹色の模様にPACEと書かれた旗をしばしば目にします。PACEはイタリア語で平和です。北京の繁華街・王府井近くには堂々たる和平賓館がそびえます。中国語では平和は和平です。

 「平和は旅のパスポート」と言ったりします。世界が平和でなければ、旅行はできません。70年前はパスポートを持たない日本人が大挙して中国大陸や東南アジア、太平洋の島々に出かけていきました。約230万人が帰国できない「死出の旅」でした。

 敗戦国の日本人が海外に自由に出かけられるようになったのは東京オリンピックの1964年のことで、昨年が自由化50周年でした。この年、ベトナムではトンキン湾事件が起こり、ベトナム戦争に米国が本格介入しましたが、1975年のサイゴン陥落で終戦を迎えます。日本人の海外旅行はこの1970年代に一般化し、80年代には大幅に増えていきました。

 私が旅行の仕事に関わり始めたのは80年代ですが、1989年6月には天安門事件のあおりを受けて、中国旅行は一時的に壊滅しました。私もその折に中国専門の旅行社からヨーロッパ中心の旅行社に転職しました。1990年には湾岸戦争があり、2001年にはニューヨークの9.11テロと米国によるアフガン報復戦争、2003年には米国によるイラク戦争がありました。こうした戦争やテロの時期には渡航先に関わらず、海外旅行を避ける傾向が顕著でした。

 幸い日本には世界に誇る憲法があり、この70年間は他国の戦争に巻き込まれることもなく、一人の戦死者も出さずにいます。日本人が安心して海外旅行に出かけられるのも、海外からの旅行者が安心して日本を旅行できるのも、70年間、交戦国がないためだと思います。

 その憲法記念日のある5月中には、世界中の米軍に自衛隊が切れ目無く援助できるようにする法案が国会に提出されます。「集団的自衛」「国際貢献」の名の下に、日本が交戦国になるのでしょうか。

 これからも、多くの日本人が海外旅行に安心して出かけ続けられるよう、世界のどの国の人々からも「憎しみの目」で見られずに済むよう、戦後70年の節目の年に平和を大切にしたいと考えています。


 

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